千葉 3(1-1、2-1)2 札幌

得点:前半14分・ボスナー(PK)
    後半01分・巻(谷澤)
    後半44分・谷澤(下村)


もう忘れかけていた感覚がよみがえって来た。
ギリギリの戦い。身を焦がすような想いのブツかり合い。一つの試合、一つの勝ち点、一つのゴールの重みを噛み締める戦い。自分達の大事なものを守り抜くための戦い。
残留争い。もう10年近く前の、あの感覚がたぎって来た。

25節・札幌戦。
勝ち点17のホーム札幌と、21の千葉。18位と17位の直接対決は、正に「Dead or Alive」。
勝たなくては何も残らない。勝つしかない。いや、勝つんだ。お互いのサポーターが、この一戦に込めた想いは如何ばかりだろうか。札幌の聖地である厚別は、赤黒のサポーターに埋め尽くされ、バックスタンドには大きなメッセージが浮かび上がる。
一方、一角に陣取った数百人のジェフサポは、それに負けじと声を振り絞った。

先発は、GK岡本、DF良太・エド・池田・坂本、MF戸田・下村・谷澤・工藤・深井、FW巻。
巻のワントップの後方に、左から谷澤・工藤・深井が構える。この3名は、流動的に動いて相手のDFを撹乱にかかる。

戸田・下村を置くことから、守備的にも見えるのだが、最近の失点が少ないとは言え、ジェフは守って守りきれるチームじゃない。とにかく、引かずに攻め続けること。それがジェフにとっての活路だった。

守備的に戦って勝ちきれなかった過去からの反省か、この試合でジェフは前半から猛攻を仕掛ける。急先鋒になったのは、左の谷澤と、右の深井。個人で仕掛けられる能力のある二人が攻撃を牽引する。
最初の大きなチャンスはジェフ。CKのこぼれ球を良太が切り替えしてシュート。
さらに右の深井からのボール、巻が強烈なヘディングシュートを放つも、GK佐藤の好守にも阻まれて得点を奪えない。

ここで、裏へ抜ける意思を持った深井の走りがチャンスを作り出す。
戸田のスルーに抜け出したシーン。これはコントロールをミスったものの、さらに同じようなチャンスが巡って来る。再び裏に抜け出し、GKと1対1。これをたまらずに箕輪が倒し、PKとレッドカード。エドが豪快に沈めて、圧倒的優位な状況を作り出す。

これで、さらに攻め込むジェフ。
しかし、時間と共に序盤のような鋭さは消えていく。よく言えば、余裕を持っているような、悪く言えばとことん保守的な攻め。決定機を作っても、細かいミスで点につなげられない。
その間に、札幌は選手を代え、守備の混乱を立て直し、反撃の機を伺う。札幌とてこれで諦めるはずも無い。徐々に、押し下げられるライン。札幌は、ダヴィ・アンデルソン・クライトンの3外国人を軸に個の力を前面に出して、ぐいぐいと押し込んできた。
それをまともに受けてしまう。前期のFC東京戦でもあった悪い流れ。10人対11人なのに、それがそうとは見えない消極性。ネガティヴなメンタルが、ぽっかりと大きく深い穴を空けていた。

なんでもない、札幌の自陣からのFK。前線のダヴィにそれが届く。
エドがダヴィを潰しにかかるが、止められない。何人もいたジェフのディフェンスは紙のように切り裂かれ、岡本もダヴィを止められない。公式記録では、札幌の前半唯一のシュート。それが失点に繋がってしまう。

圧倒的に攻め込み、決定機を量産しながら、同点で終わってしまった前半。
幾人もの選手が頭を振り、なにやら大きな身振りで互いに確認を取りながら下がってくる。
原因は分かっている。守りに入った気持ちの弱さだ。

後半、その迷いを断ち切らんばかりに、エースが強烈な一撃を突き刺す。
谷澤のクロスに巻の低空ヘッド!雄たけびを上げ拳を突き上げる巻に、厚別に集ったサポが大歓声で応える。
このゴールで、札幌の出鼻を挫き、再び試合の主導権をジェフへと戻す・・・そのはずだった。だが、札幌は心底諦めなかった。その気迫に、ジェフは「守りきりたい」と言う気持ちに、再び侵されてしまう。

前へ、前へ出る札幌を止めることが出来ない。前線のダヴィ・アンデルソンを狙うシンプルな攻撃がボディブローのように効いてくる。
もはや、10人対11人と言うことは関係なかった。

そんな中で、坂本が不用意にボールをコーナーに逃がしてしまう。
スローインにも出来たボールだけに、坂本と言うベテランだけに、判断の甘さが悔やまれる。警戒していたセットプレー。相手に与えたCKの2本目を、アンデルソンにニアで合わされ、再び同点とされてしまう。
さらに勢いづく札幌サポ。その声に後押しされた札幌の出足が、完全にジェフを上回る。ジェフは、大輔・新居・根本を次々に投入するも、前線でキープすることも出来ずに、形勢は変えられない。

勝負の行方は、お互いの意地だった。
退場になったダヴィが、腕で叩き落としてでも、ゴールをしたかったその気持ちは分かる。一方でスグその後、9人になったとはいえ、マーカスが時間稼ぎのようなスローインをした事への違和感。ギリギリのゲームにあって、最後の最後の勝負を決めたのは、ここのメンタルの差ではなかったか。9人でも、札幌に捨て身で攻め勝つ気持ちがあったなら・・・だからこそ、その後に生まれた谷澤のゴールは、必然であったように思う。あの瞬間、一体何人の選手がゴール前に殺到していたか。総がかりだ。勝たねばならなかった。諦めてなんかいなかった。その先を拓くために。

スローインを巻が繋ぎ、根本がクロスを上げる。下村が喰らいつき、谷澤の左足が振り抜かれる。
刹那、厚別の音が割れた。
黄色い歓喜の爆発と、赤黒の沈黙。

そう、この感覚なんだ。こんなひりひりとした試合を勝ち抜かなくては、残留は無かった。こう言う試合を勝ち抜けるチームしか残留することは出来なかった。
黄色いスタンドに、拳を突き上げ、笑顔で駆け寄る選手たち。それに応える笑顔のサポーター。静かになった厚別に、ジェフの歓喜の声と、札幌の選手たちを称える拍手が響いていた。明暗が交錯する一瞬だ。

苦しい戦いだったが、欲しかった勝ち点3と言う結果を得た。
すぐ上には、磐田がついに勝ち点2差に迫った。これでようやくジェフは、残留争いに参戦することが出来た。全ては、これからだ。勝ち抜くためには、再び繰り返してしまった数的優位を活かせないような戦いは出来ないし、今日の日のような厳しいゲームも粘り強くモノにし続けていかなくてはならない。

残り9試合。総力戦が続く。ここからが、勝負だ。

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