千葉 2(0-1、2-0)1 名古屋

得点:後半02分・谷澤(早川)
    後半03分・深井



ホーム・フクダ電子アリーナ。
その事を今日ほど強く感じた事があっただろうか。ゴール裏から、バックから、メインから、南側の自由席からも。手拍子が、声援が、選手達を包んで、力が膨らんでいった。
必ず勝つ。その思いが。来年もJ1でやる。その願いが、フクアリを一つにしていた。

第26節・名古屋グランパス戦。相手は首位。5連勝中。
しかし、そんな事は関係なかった。デーゲームで磐田が破れ、この試合に勝てば自動降格圏をついに脱出できる。少し前までは遥か遠かった磐田の背中が、今はハッキリと見える。生き残るには勝つしかない。否が応にも試合前の緊張感は高まった。

18:55−−ビジョンに「残留」の横断幕が映し出され、一瞬の静寂の後に「WIN BY ALL!」の大連呼がスタジアム全体から始まる。本当にスタジアム全体から。前回のホーム、東京V戦のそれをも上回る声量、そして手拍子。さらに「あっこちゃん」でスタジアムが揺れる。フクアリを埋め尽くすタオマフが作り出す波。“ホーム”が確かにここにあった。

この日、ミラー監督はスタメンに微修正を加えた。
戸田を外し、ボランチに浩平を入れて中盤を攻撃的にすると、札幌遠征に帯同させず温存したミシェウを満を持してトップ下に据える。FWには、連戦の巻に代えてレイナウド。
、ハイボールに強い名古屋DFバヤリッツァ・増川と正面からぶつかることを避け、尚且つミシェウと2枚で前線でのタメをつくることがレイナウド投入の意図だろう。前節までのウチの戦いを見て研究していた名古屋は、恐らく面食らったのではないだろうか。ジェフサポでもそうだったのだから。

−−−−−−10−−−−−−
−16−−−44−−−36−
−−−−07−−06−−−−
31−−04−−14−−02
−−−−−−30−−−−−−


対する名古屋は、負傷のマギヌンに代わって、スーパーサブの杉本が先発している以外は、ベストメンバー。真っ向からの勝負が予想された。

キックオフと共に、激しい主導権争いが展開された。
ジェフは明らかに出足が違う。前節までと違い、ボールを“タメる”ポイントがいくつもある。レイナウド、ミシェウ、それに工藤。タメる事が出来れば、攻め上がる時間が生まれる。両翼の谷澤・深井が、ポジションを流動的に変えながら、躊躇無く前線へと攻め上がっていく。その二人も、自身で局面を打開できる。
その中でも、やはりミシェウのプレーの質は出色。先を読む能力と、柔らかくタイミングを合わせて前線に送り込まれるパスが素晴らしい。彼が入ったことで、周りの選手がどれだけ活きるようになったことか。
ミシェウに牽引され、これまでロクに攻撃の形らしい形を見出せなかったジェフが、溜め込んでいたものを吐き出すように、まるでサナギが羽化するかのように、意図を持って攻め始めた。

もちろん、攻める事が出来れば守備への負担が軽くなる。
加えて名古屋の攻撃は明らかに鈍く、両翼は激しく相手の翼を挟み込みにかかり、最終ラインのエド・昇平も厳しい寄せでFWにシュートを撃たせない。名古屋の強みを抑え込み、ジェフの強みを活かす。今季最高の攻守のバランスが前半から見せられていた。

しかし、事態は暗転する。
良太が、ペナルティエリアに侵入しようとした相手と交錯し、足を痛めてしまう。足をテーピングでグルグル巻きにし、気迫で戦線に戻るものの、どうしても思うように身体が動かない。そして、そこで出来た一瞬の隙を今の名古屋は逃さなかった。
良太の少し前で、小川がボールをキープする。何故かこの時、周りの選手からのフォローが入らない。エアポケット。小川は、狙いを定めると40m近くの距離から、対角線上のゴールの隅を、正確に貫いて見せた。

ジェフからしてみてば良い流れの中で起こった事故のような、名古屋からすれば必然のファインゴールだった。がっくりと膝をつく浩平。それを見て、スタンドからは一層の大声援が起こる。
まだ1点。こらからだ。逆転するぞ。必ず勝つぞ。立ち上がれ、前を向け、走れ!と。

その声援に、そしれミラー監督の檄に、選手達は発奮した。
後半、選手達は一気の攻勢を仕掛ける。

開始直後、谷澤のクロスからレイナウドのヘッド。これはバーを越えるものの、さらに谷澤からボールを受けた交代出場の早川が、素早くクロスを上げる。飛び込んでいたのは、早川にボールを預けた谷澤!強烈なヘディングシュートが、楢崎の手前で跳ねる難しいバウンドとなり、止める事が出来ない。ボールは確かにラインを割った。同点ゴールに燃え上がるフクアリ。さらに、この勢いはこれだけじゃなかった。

このスグ後、リスタートのボールを奪取すると、前線に駆け込んで足元によこせと必死のアピールをする谷澤の元に、下村からスルーが届く。谷澤はそれを躊躇無く右足で振りぬく!楢崎の手を弾いたボールは、ゴール前に詰めていた深井の元に!落ち着いて、大切に押し込まれたボールの行方に、看板を飛び越えて歓喜を爆発される深井の姿に、スタンドも最高潮の大歓声となる!吼える選手・サポーター!

いや、集中だ!ここからだ。まだ勝っていないじゃないか。まだ何分あると思っているんだ!
お互いが声を掛け合い、再び試合に集中する。
選手達の気持ちも同じなのだろう、首位を潰し、自らの活路を切り拓く千載一遇の機会に、足が衰えない。ワンプレー、ワンプレーを厳しく詰め、気持ちで、意地で名古屋の攻撃を押さえ込む。

名古屋は、攻撃の打開を図るため、巻佑樹を投入するも、ジェフは冷静に対応。
終盤には、まず戸田を疲れの見えたミシェウに代えて中盤を引き締めると、後半34分には満を持して最後のカードとして、エース・巻誠一郎を投入。前線からの守備で名古屋の攻撃の糸口を潰していく。この巻の投入は、選手・サポーターにも大きな勇気となった。大声援の下、我武者羅にボールを追う巻にさらなる声援が、拍手がフクアリの空気を一層熱くしていく。
それに応えて、坂本が、池田が、ボスナーが、全員が、激しく身体を張る。
勝つ。勝ってその先に抜けると、強い気持ちを持って。

そして、ロスタイム。最後の名古屋の攻勢を、全員の気持ちで封じ込める。
最後のコーナーキックも、「岡本」の大声援がフクアリを包む。
そして、長い長い3分を乗り切って、ついに掴んだ勝ち点3にスタジアムが割れる。選手達の歓喜、スタンドの歓喜。選手達の、その奮闘を労う、アメグレが響き、首位撃沈、ついに自動降格圏を抜けた束の間の安堵を味わう。
これほどまでに、一体化したスタジアムが今まであっただろうか。勝利を共に分かち合える喜びが、この選手達を応援できる誇らしさがそこにあった。

素晴らしい、一勝だった。

それでもまだ、道は半ば。
ミラー監督の言葉にあるように、まだ16位になったに過ぎない。残留を本当に決める為には、まだまだ厳しい戦いが待ち構えている。しかし、この日、フクアリで共に戦ったサポーターなら分かるはずだ。この仲間達となら、この危機も乗り越えられると。フクアリの勝利。さあ、俺達の戦いはこれからだ!

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