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081005_fukuari千葉 3(1-1、2-1)2 浦和

得点:前半00分・深井(谷澤)
    後半12分・深井(ミシェウ)
    後半21分・ミシェウ



「WIN BY ALL!」コールが、凛として響いた。
ここは俺達のホームなんだと。俺達が、選手達の背を押すんだと。他の誰でもない。どこでもない。今、ここで俺達がやらねば、誰がやるのかと。

赤い声の波を砕き、ここが何処であるのかを知らしめる。
「WIN BY ALL!」、今こそ「WIN BY ALL!」。

第28節・第2日。
前日、残留を争うライバル達が、次々と勝利。ジェフはより一層、勝たなくてはならない状況に追い込まれていた。迎える相手は浦和。優勝を争う上位との対戦。しかし、今のジェフにとっては、相手が何処であろうと関係ない。一戦必勝、その気持ちがフクアリに強く満ちていた。

早朝から蘇我の街に次々と訪れる赤い浦和サポ。その姿に自然と気持ちが奮い立つ。
意識はしないと思っても、それでも意識をしてしまうのは、今の浦和が曲がりなりにも「J」の中心に居るからか。それとも苦い記憶が心の奥で疼くからか。
昨年のアジア3位、膨大な観客動員を拠り所にする経営規模、それをモノに言わせた大型補強。阿部勇樹の存在。前半戦・埼スタでの惨敗。反骨心を煽る材料ならいくらでもある。
試合前のミーティングからサポは熱く燃え上がった。

ホームの熱気に呼応して、ミラー監督は、攻撃的な布陣を選ぶ。
恐らく、ほとんどのジェフサポが、この布陣を望んだのではないだろうか。名古屋戦のメンバーに巻を加えた布陣。ここがホーム。ここはフクアリ。主導権を獲りに行くのだという強い意思。最初から、チームは一つだった。

−−−−-巻-−−−−
谷澤−−ミシェウ−−深井
−−下村−−工藤−−
良太-エド−池田-坂本
−−−−岡本−−−−

浦和は、欠場も噂された闘莉王を先発。
阿部やポンテをはじめ、A代表級を集めたベストメンバーだ。水曜日に京都と引き分けているだけに、優勝に向けてはこれ以上の取りこぼしは許されない。疲れがあろうとなんだろうと、この順位に居る。それが彼らの実力。それだけのメンバーを集めている。
16位の格下相手にこれ以上の躓きは許されない。南側のスタンドを埋めた浦和サポは、“いつものように”彼らのペースで歌い続けて選手を鼓舞する。

−-エジミウソン−高原−−
相馬−-ポンテ-−平川
−−山田−−鈴木−−
−阿部-闘莉王-坪井−
−−−−都築−−−−

ビジョンに「残留」の横断幕が映し出され、それまで沈黙していたホームから、「WIN BY ALL!」の大コールが起こる。それまで耳障りに聞こえていた浦和の声援が届かなくなる。
そして選手入場。黄色いタオルマフラーが乱舞し、赤い人垣が揺れる。

異様なスタジアムの空気の中、いきなり試合は動いた。

ホームの声援を目一杯に受けて、機先を制したのはジェフ。
「先手必勝」の言葉通りに、浦和ボールをすぐさまに奪い取ると、谷澤が左翼で平川を交わす、ピッチを袈裟掛けにするように繰り出されたクロスに、迷わず深井が飛び込む。わずかに、軌道を変えられたボールは、ゴールの隅ギリギリに流れ込んだ。

沈黙する赤に、弾ける黄色。
だが、これで終わるわけも無い。この得点で、ゲームはさらに熱さを増していった。

浦和の切り札は闘莉王。
エンジミウソンでも、高原でもなく。横暴とも言える「個」の力で、相手をなぎ倒し、ゴールまで運んでしまう力を持つ「DF」。
8分。工藤が自陣で後ろから狙っていたエジミウソンにボールを奪われる。エジミウソンは、左に切り込みながら前線に残っていた闘莉王にスルーパス。闘莉王の動き、どう見てもFW。ド真ん中をかち割られ、岡本も届かない。
しかし、だからナンだと言うのだ。まだまだ、これからだ!

ジェフは、前線から厳しいプレスをかけてボールを奪うと、カウンターで勝機を伺う。
浦和の両翼・平川と相馬を自由にさせず、逆に谷澤・深井の両翼を頻繁に入れ替えつつ、ミシェウのキープ力を活かして、前へ前へと押し込む。
時折、平川・相馬も個人の力で深く突破を仕掛けてくるが、DF陣が連携して水際で防ぐ。下村も、エドも、昇平も、坂本も、良太も、皆、しっかり集中している。

耐えた後は攻撃だ。怪我の癒えつつある良太。彼の攻撃が、この日もアクセントになる。
19分にはドリブルからロングシュート、さらに26分にはCKからポスト直撃のヘディングを放つ。
さらに前半終了間際、工藤のクロスから巻のヘッド。
これも、ポストを叩く。

大きなため息が起こる。フクアリのポストならば、味方をしろよと苛立つスタンド。

あっという間の前半。
応援している方も、ぐったりと疲れてしまう。そう言う前半だった。


ハーフタイム、ミラー監督の檄が選手を動かす。
「今日は俺たちの日だ。相手より強いメンタルを見せろ!」

この檄は、試合後に目にした。奮い立つ、気持ちの熱くなる檄じゃないか、このオヤジ!
その熱に直接触れた選手達は、どれだけ熱くなったのだろうか。

深井が、一番最後にピッチに戻ってくる。
名古屋戦でもそうだった。何を想うのか。何を魅せようと言うのか。

後半。さらに攻勢を仕掛けるのはジェフ。
工藤のシュートがポストをかすめる。流れは渡さない。

そして12分。ミシェウから深井にタテパスが通る。
間近で見ていたのに、一瞬、何が起こったのか、わからなかった。
まるで、魔法のような、それでいて切れ味の鋭い刀のような動きだった。ミシェウから受けたボール。苦しい体勢にも関わらず、その左足が美しい弧を描いてターンする、瞬時に阿部・坪井の2枚を引き剥がし、間髪入れずに左足を振り抜く!正にゴールを引き裂く、ファインゴール!

看板を飛び越え、雄叫びを上げる深井。
スタンドは最高潮の熱さだ!


さらにミシェウが続く。巻が坪井のボールをカット。そのボールを受けると、ミドルレンジから、GKの動きを読みきって、さらに闘莉王の股を抜くコントロールされたシュートが突き刺さる。

ホームで2点のリード。これをミラー監督が守りきらないはずも無い。
ゲームは、終劇に向けて、一気にその彩を変えて行く。戸田・早川の投入。戸田が中盤を引き締め、早川が前線に上がりっぱなしになった闘莉王をいなす。全員の意思統一、身体を張った守備。サポーターの声援。浦和の猛攻を跳ね返し、悲鳴と声援、怒声と激励が入り混じって、さらに熱を帯びていく。

やたらと鳴る、笛が煩わしい。「集中」と声の限りに叫ぶ。
しかし、怖いはずのセットプレーも、決まるとは思えなかった。ゲルトが何を考えているのかは知らないが、浦和はわざわざ、阿部のFKを封印していたのだから。全盛期の阿部のそれに比べれば、他の選手のFKなど、なまくら刀だ。

最後のセットプレー、再び「岡本」コールが地響きを起こす。
岡本、聞こえるか、この声が。ならば、守ってみせろ!

「岡本」コールの先は、黄色い大歓声と、赤の沈黙だった。勝利。入れ替え戦圏内脱出。
ようやくたどり着いた、この場所だ。


全力を尽くした勝利に、スタジアムが安堵と喜びに包まれる。
響く「WIN BY ALL!」コール。
それがアメグレに変わる頃、深井のホーム三試合連続のヒーローインタビュー。

深井を待って、いつもの、“でんぐり”“バンザイ”“俺達ジェフ”に、ミシェウ、深井のマイクパフォーマンス。この、選手とサポーターの近さ。一体感。これがフクアリ。この黄色い喜びを共有する、我が家、それがフクアリだ。


苦しんで苦しんでついに手に入れた残留圏内。
勝負はこれから、それは解っている。
苦しんで、辿り着いたからこそ、大切だと言うことが身に染みる。もう、二度と降格圏内には落ちるまい。

次もホーム・フクアリで戦える。
この先へ。もっと先へ。
まだまだこのチームは成長できるはず。
俺達の戦いは、まだまだこれからだ。

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