既視感 第30節・ザスパクサツ群馬戦

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松本から中2日、疲労もあったろうし、この尋常じゃない厚さと湿気。
サッカーをやるには厳しい環境であったとは思う。 

とは言え、それは相手も同じ。 
詮無き話ではあるけれど、走れないチームを見るのが辛い。
何故走れないか?準備が足りないからに他ならない。

「走る」アイデンティティを失ったジェフ。
夏場の失速が恒例、かつ不可避なのは、もはや必然でしかない。

ゲームを振り返ると、監督は少し選手を弄ってきた。
ヨネを中盤に上げ、右のサイドバックにはキム。
そして、最前線にはナムを配置して、ボールの収まりどころを作る作戦だった。

最初、このメンバーを見たとき、3バックかとも思った。
智を真ん中に、ストッパーに竹内とキム。両翼に峻希とヨネ。
以前、キムのサイドバックが上手く行かなかったから、そんな選択肢もあるんじゃないかと。

しかし果たして、試合が始まってみると、フォーメーションは普通に4バックだった。
ならば、キムの位置は、大岩でも良かったんじゃないかとも思う。
大岩の方が、思い切り良く上がる事が出来る分、ヨネの動きと被るところがあって、戸惑いが少ないんじゃないかと。

案の定、キムは高めのポジションはとっても、ドリブルしたりクロスは出来ない。
頑張ってはいたものの、右の攻撃は停滞してしまった。

左の峻希も、若干の積極性は松本に比べてあったものの、決定的なプレーは出来ない。
両翼に蓋がされたようになり、残るは、精度のイマイチ低いボール回しで、中央突破を図ると言う選択肢しかなくなっていた。

守りを固める群馬に、それはおあつらえ向きの状況だ。
ボールは持っても、崩す勇気も、動きの質も無いジェフは、ボールを回すばかり。
時折、ミドルを放つものの、精度が無い。

それでも、ナムが、綺麗に抜け出して1対1と言うシーンを作ることもあった。
けれど、それも精度を欠いて決められない。

すると、流れは群馬に切り替わっていった。
いつかのゴールのリプレイのような、崩されて、必死に守って選手同士が重なって、お団子ようになったところを、クリアボールを頭で押し込まれる。

選手達の意気消沈っぷりが酷い。
「ああまたか」「またやってしまったか」そんな声が聞こえて来るような、自信なさげな感じ。

反撃を試みるも、決めてなく。そのままに前半終了。

後半、竹内から、田中に変更。
ヨネがサイドバックに戻り、田中は右のサイドハーフに。

この試合、負けたら自動昇格はおそらく手が届かなくなる。
今シーズンの分水嶺になると、おそらくは直感で感じたのではないだろうか。
ゴール裏は、「あっこちゃん」で、選手を煽る。

反撃の空気が作られる中、智のヘディング、そしてヨネのクロスからのオウンゴールで、逆転に漕ぎ着ける。
さあ、もう一点、深井も投入され、空気が高まる。

しかし。
点を獲りに行くのか、それとも守るのか、チームの意思はイマイチはっきりしなくなった。

そして、運動量はみるみる落ちていく。
疲れたのか、それとも、逆転してホッとしてしまったのか。
そんな緩みを、相手は見逃してくれなかった。

中央を割られて失点。2-2。
勝たなくては、先は無くなる。
ホーム。勝たなくてはならない。

けれど、もう足は動かない。
嵩にかかって攻めることが出来ない。
いつまでも、ボールを回すところから脱出できない。
せっかく投入した深井に生きたボールが届けられない。

わずかなシュートも、相手の必死のディフェンスに阻まれる。
時間は過ぎ、試合終了。

重たい空気と、ブーイングがフクアリを包む。
8月。
何も変わらない8月。

走らなかった代償は、裏切る事無く、結果へと繋がった。

走れない選手の問題なのか。
走れるよう練習させなかった指導陣の問題なのか。

チームとして、基礎を怠ってしまった代償としか言えない。

試合前、新加入の森本が挨拶をしてくれたけれど、彼がどうにかできる問題じゃない。

走れなかった。
その事を、今年もまた後悔の念で埋め尽くしつつ。
蒸し暑い夏が、過ぎ去っていく。 

いかんなあ。気持ちを切り替えないと。