背番号「10」が大きく見えた 第24節 vs金沢 ○2-0

背番号「10」が大きく見えた 第24節 vs金沢 ○2-0

得点を奪えず、ミスから失点して自滅した熊本戦。
連勝は途切れ、岐阜戦で吹っ切れたかと思われた、
アウェイでの脆さは根深い問題としてまた、残ってしまっていた。

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その歯痒い思いを、選手達の中でもとりわけ溜め込んでいた、也真人。
試合後、お立ち台でスタンドに向かって語りかけた言葉は、
サポーター一人ひとりに、ずしりと響いた事だろう。

もがきながら、前に進むチーム。
その中で也真人の内面も大きく成長し、プレーだけでなく、
精神面でも、チームの中心となりつつあるようだった。

藤田俊哉に憧れて入団し、
深井正樹の魂を受け継いだ背番号「10」が、
日に日に大きくなっている。

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この日のスタメン。
前節からの変更点は、2トップを止め、従来の3トップに戻したこと。
また、壱晟がベンチにも入らず、故障の癒えたアランダがスタメンに戻ってきた。

リザーブでは、GK大野哲煥が初めてベンチ入りし、スタンドから大きな声援。
また、新加入の為田、U-18の古川もベンチ入りとなった。

対する金沢は、去年に続き、今年も順位では苦しんでいる。
一方、チームカラーとも言える堅守速攻、走力とスピードは健在でジェフにとっては厄介な相手。
アウェイで対戦は、両軍共に退場者を出し、ジェフは20本のシュートを放ちながらも敗戦。
試合終盤には、GK佐藤優也が自らドリブルで攻め上がって攻撃参加すると言う苦しいゲームだった。
二度目の対戦で、お互い、どうチームの色を出せるか。

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暑さの残る18時にキックオフ。
試合開始早々、ペースを握ったのはジェフ。
前半15分頃までは、セットプレーにロングスローを交え、ラッシュをかけて金沢を追い込む。
その攻撃的な姿勢が、3分には早くも得点に。

セットプレー崩れから、相手の中途半端なクリアが清武にわたると、
まだ選手が残っていたゴール前に低いボールが送り込まれ、
これをラリベイが2人に囲まれながらも、どんぴしゃのヘッドで合わせて早々に先制。

スタンドには、ラリベイと奥さんの両親が来日していたそうで、
大喜びでアピールを繰り返すラリベイ。

ジェフは、也真人の指揮で、ボールを散らし、左は清武と乾のコンビで崩し、右は船山にアランダ、時々真希が絡んでチャンスを作る。ゴールにはならなかったが、自陣のボール奪取から、前線まで4~5本のパスが鮮やかに繋がって攻め込むシーンもあり、攻撃は上々だった。

一方守備では、金沢の鋭いカウンターに脅かされるシーンもあり、
佐藤優也の間一髪のセーブで事なきを得る。
また、乾も、前節の汚名を雪ごうと、普段以上に粘り腰のプレーで体を張り、少しでも前にボールを運び出そうと奮闘していた。

35分過ぎにアクシデント。
真希が右サイドで傷み、プレー続行不可能に。
急遽、比嘉がピッチに投入される。
慣れない逆サイド、まずは落ち着いて前半を終えたいところ。

金沢からしてみれば、大きな隙になり、ジェフとしては失点する前に突き放したかった。
ただ、前半最初のようなペースがずっと続くものでもなく、やや停滞した攻撃が続いていた。

前半も終わろうとした46分、ここで大きなプレーが出る。
ゴール前にアバウトに送られたボール、残っていた乾が頭で落として、それが也真人へ。
乾が裏へ抜け出ようとしたところへパスだししようとするも、ディフェンスに阻まれてしまう。

そのボールが、再び也真人の足元に。
ここで、少し前までの彼なら、戻すか、パスだったろう。
が、2人3人と相手が詰める中、ステップを踏んで相手をかわし、左足で強引にシュートを選択。
これが、ゴールキーパーの逆をついて、ネットを揺らす。
試合の趨勢を決める、大きなプレーになった。

シュートを撃てる場面でパスを選択する、あるいは、戻して組み立てなおす。
より確率の高いプレーを選んだと言われても、スタンドはえてして失望のため息を漏らす。
シュートを撃ち切る意識、これは、何年かかっても、指導者が変わっても、改善できなかったもの。
それが、第一選択肢としてシュートを選ぶようになりつつある。

画期的なことだと思う。

エスナイデル監督の進める意識改革が、也真人の危機感と合わさって生まれたゴールだった。
これでジェフは楽になった。

後半、ジェフは再び開始からラッシュをかける。
ラリベイ、清武、也真人が、後半15分くらいまでに立て続けに決定的なシュートを放つも、
相手GK白井の正面にボールを蹴ってしまったり、相手のファインセーブに阻まれたりで、追加点は奪えない。

一方、カウンターを喰らうことも相変わらずあったが、佐藤優也がファインセーブを見せ、事なきを得る。

ただ、結果的に完封したものの、この試合でも、慌てる必要の無い場面で不必要に慌てるシーンは多々。バックパスの意思疎通のミスや、戻ってくるボールを掴めばいいものを、なぜかダイレクトボレーで蹴り返してみたり、あまつさえ負傷で外に出ている乾に気付かず、その乾に向かってスローしてみたりと。。。感覚的には2~3失点したような心臓の悪さがあるのは、何とかして欲しい。

戦術上仕方の無い危うさは仕方ないが、普通にやれば、なんでもないプレーを大ピンチに変えるのは、決して目にしたいプレーではない。

試合は、そのまま2-0のまま経過。
指宿と為田が交代出場。

時間的に少なく、ゲームをクローズしつつある時間だったので難しかったと思うが、為田はドリブルからのカットインで、指宿は、懐の深いキープ、強引なシュート、オフサイド判定になったものの、クロスに合わせてネットを揺らすなど、競争の激しさを垣間見せた。

大脱走も響き、無事にホーム勝利。
冒頭の也真人のマイクパフォーマンスへと続く。
アウ
イ連戦に向け、良い勢いづけが出来た。

この試合、也真人意外にも取り上げたい選手が居る。

まず、交代出場の比嘉。
逆サイドで難かったにも関わらず、再三船山とのガラの悪いコンビ(失礼)で右サイドを突破してチャンスメイク。これまでで一番のパフォーマンスだったのでは。真希の負傷もあり、北爪、溝渕と三つ巴で右サイドを争う事になるか。

そして、熊谷。
決定的なミスが減り、だいぶ戦術的に消化されて来た。
近藤、ボムヨンが上がってきたとき、アンカーの熊谷が吸収されて3バックのようになっているシーンがあり、監督コメントで質問を受けていたように、ビルドアップで貢献していた。
目立たないプレーも多いので、DAZNで彼を追って試合を見直してみるのも面白いのでは。

さて。

これから四国連戦。
間瀬さんの愛媛に、上位の徳島。
アウェイだけに、苦戦も予想されるものの、ここで結果を出して欲しいもの。
例年、夏の失速で苦しんでいるけれども、今年は直近の5試合で4勝1敗。

上位も下位も、団子状態。
ここを抜け出す力強さを見せて欲しい。