ついに、エスナイデル監督が解任となってしまった。

開幕して4試合、ホームでの二度の大敗を含む2分2敗の勝ち点2、21位。
このままではJ3降格の危機。
成績からすれば、止む無し。

だが、この2年半を思い返すと、寂しさもある。
レアルや、ユーべのようなビッグクラブを渡り歩いた名選手だったにも関わらず、とても人間臭い、愛すべき監督であったと思う。結果が出なかったことで、大いにサポーターからも叩かれた。けれど、J2の沼にどっぷりと嵌ったジェフに、己の指導者生命を賭けて、それこそ、「ありったけの情熱」を注いでくれた事には感謝しかない。

2年前の瑞穂を思い出せば、
悔しさと共に、貴方と一緒にJ1へ上がりたかった。
その思いが募る。
残念でならない。


2年半前、エスナイデル監督が就任したとき。
ジェフが彼に求めたのは、攻撃的な姿勢をチームに植え付ける事だった。

前任の鈴木監督、関塚監督時代それぞれの末期。
ジェフはボールを前に運ぶ事が出来ず、ペナルティエリアの手前で、バックパスを繰り返すようなサッカーしか出来なくなっていた。

ジェフには、特に昔を知るジェフサポには、常にオシム監督のサッカーの影が染み付いている。圧倒的な走力と、献身性。連動したアグレッシブな攻守。
堅実なサッカーは、いつの間にか退屈なサッカーと認識され、それで勝てないとなれば、不満は加速度的に募っていく。
あのサッカーは、オシム監督にしか出来ないのに、その影をいつも追っている。

そこにやってきたエスナイデル監督は、極端極まりない攻撃的なサッカー。
「ハイライン・ハイプレス」でジェフを覆っていた停滞感を拭っていった。

そのリスクの大きさは、停滞感に苛まれていたジェフサポにとっては麻薬的で。
圧倒的にリスキーではあっても、プレスで相手を狭いエリアに押し込め、高い位置からショートカウンターを仕掛けてゴールを強襲し、守りはオフサイドトラップとキーパー任せと言う、およそ「安定感」とはかけ離れたサッカーは、ジェフの新たな代名詞となった。

殴り合い上等。
優也劇場。

危ういサッカーのその先にある、「ずっとジェフのターン」の完成形。
そのサッカーは2017年8月の湘南戦で、一度はその彼岸に辿り着く寸前まで突き抜けた。
が、この試合を頂点として、ジェフは理想と現実の融合に苦しみ続ける事になった。

2017年の終盤。
システムを4-5-1の船山システムにマイナーチェンジし、ラリベイの覚醒と共に、7連勝を成し遂げたものの、監督にとっては本意ではなく。恐らくは現実的な守備との妥協の産物がもたらした連勝だったのだろう。


年が変わって2018年。
補強も順調に進み、誰もが「今年こそ」と意気込んでいた。
評論家、解説者の評価もすこぶる高く、第三者から見ても、ジェフは期待を持たれていた。

しかし。
開幕から展開されたのは、再び1年目の春に戻ったようなサッカーだった。
長谷部コーチが抜けたジェフは、再びエスナイデル監督の理想の具現化に向けて突き進んだ。

ここで、強化部とも意見の食い違いが生まれている。
高橋GMも、2018年は、前年の試行錯誤がアドバンテージとなって戦えると確信していた。

システムだけの問題ではないにせよ、
勝利を重ねたダブルボランチはアンカーに戻され、不運も重なったにせよ、ボムヨンのスピードが欠けたDFラインは、容易に裏を狙われて、退場や失点を重ね、序盤から失速をしてしまった。

既に2018年の開幕の時点で、他クラブのジェフ対策は相当に進んでいた。
そして、それと分かっていながら「自分達のサッカーをすれば勝てる」「やることはいつも変わらない」と意固地になってしまっていた。

ディエゴをはじめとした補強も、活かしきれず。
茶島も慣れないサイドバックでの起用を続けられ、思考錯誤が続く中で、2017年に活躍した清武やラリベイは、徐々に出場機会を失って行った。

そして、立て直す事が出来ないままに、2018年は14位で終了した。
得点は72得点、リーグ2位だったものの、失点も同じ72。
終盤、ハイラインを改め、「現実的な」守備に移行して勝ち点を何とか稼いだものの、「らしさ」は既に影を潜めてしまっていた。


監督交代の声も大きかったが、2019年。
ジェフは、エスナイデル監督を続投してシーズンに臨んだ。

今だから書くが、既に昨年の夏ぐらいから、続投が基本線らしいという話が伝わって来ていた。クラブとすれば、それだけエスナイデル監督に賭け、またそれまで安易に監督交代を続けて来たクラブの体質を変えようと努力していたのだと思う。

チームの広報誌「UNITED」上で高橋GMが述べていたように、
今季のテーマは、守備を改善し、J1昇格の為に現実的に勝てるサッカーを目指す事だった。
そのために、監督と何が最優先なのかコミュニケーションを重ねたのだろうし、最大限のサポートをして、リーグ戦に臨んだのだと思う。


理想と現実の折り合い。
2017年の7連勝を目の当たりにして、私自身もそれをチームに強く求めたけれども、とても難しい要求をエスナイデル監督にしてしまっていたのかも知れない。

今季、エスナイデル監督は、とにかくジェフを勝利に導く為に、自らの信念を歪めてでも、守備のバランスを意図した戦い方をしようとしていたのだろうと思う。
が、それは、同時にエスナイデル監督の良さを潰してしまう事にもなってしまったのだろう。今季のサッカーは、どんなサッカーをしたいのかやりたいことが見え辛く、焦点がボヤけてしまっていた。

現実的なサッカーへの転換を迫りながら、
片方では理想を形にせよと、求めていたのかも知れない。
もしかしたら、「ロマン」を求めていたのは、監督ではなく、サポーターではなかったか。


理想と現実の狭間で迷う間に、
迷いの無い現実的な戦い方をする、多くの競合クラブが、
ジェフの攻略法を淡々と実行して、勝ち点を奪い取っていき、そしてエスナイデル監督はチームを去ることになってしまった。


ここまで書いてきたように、ジェフは厄介なクラブだ。
攻撃的で、魅力的なサッカーで勝たなければ、不満が噴出するようなサポが居る。
J2にいつまでも留まる事を良しとしない、親会社のプレッシャーもある。
それ故に、監督交代、あるいは強化責任者の交代が繰り返され、チームの方針が二転三転し、何の積み上げも無いままに、選手を潰し、成績を下げ続けてきた。

その悪い流れを変えようと、周囲の雑音をものともせず、高橋GMや、クラブが、エスナイデル監督を守り、チーム作りを進めてきた事は、一面では評価されるべきだと思う。
ただ、如何せん結果が出なかった。
チーム作りの過程での振り返り、監督とのコミュニケーションも十分でなかった。
何故、ここまで結果が出なかったのか、それは今後しっかりと検証されるべきだ。
そして、それをチームに関わる皆と共有するコミュニケーションの場が常に設けられるべきだ。


改めて2年半、ジェフの勝利に為に力を尽くしてくれたエスナイデル監督。
もう会えないのかも知れないけれども、ありがとうと伝えたい。
J1昇格を成し遂げた時、貴方がどんな顔で喜び、選手とはしゃぐのか、見てみたかった。

今後の幸運を心から祈っています。

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