「勝たなくてはいけない試合に勝つ」
これが出来るかどうかで、チームとしての力が大きく異なって来る。

5連勝して迎えた名古屋戦。
これまでと同じく、負けたら終わりと言う状況に変わりは無い。
それでも、この最終盤でチームが見せつつある変化に、多くのサポーターが豊田スタジアムに集った。

最後まで、可能性を諦めない。
けど、それ以上に、このチームがどう変わっていくか、それを見届けたい、
多くのサポーターには、そんな思いがあったのではないだろうか。
自分もまた、そう考える一人だった。

前日夜に、年来のサポ仲間にクルマで拾って貰い、
ナビスコの優勝や、御大の時代、臨海時代などなど、昔話をしながら新東名を下る。
自分は昔ほど多く遠征することは出来なくなってしまったけれども、
こう言う、どうしても行かなくてはならないと思わせる試合が、たまに存在する。

自分の場合は、2001年の第4節福岡戦(三連敗の後、茶野のVゴールで勝った試合)や、
2003年(優勝争いの一戦。ヨンスのPK。)、2005年(茶野と村井が抜かれた後)のヤマハ、
2008年の日本平(奇跡の残留の一試合前)がそうだった。

こう言う、純粋に行きたい。行かなくてはならないという気持ちになるのは、久しぶりだった。
これまでは、何年も何年もモヤモヤしていた。
余計な事ばかりを考えるようになってしまっていた。

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夜中の1時過ぎに豊田スタジアムに着き、朝が来るまで時間を潰す。
朝になると、心配された雨も上がり、夜中に見たときには暗くてよくわからなかった豊田スタジアムが、
ヨーロッパのスタジアムにも引けを取らない異形の姿を、雲間から差し込む日の光に照らされて迎えてくれた。

列に並ぶと、いつも遠征しているサポが居て、自分のように、たまにしか遠征しないサポも居る。
フクアリと同じ面々、おそらくは同じような心持ちで、ここに集ったのだろう。

ほどなくして、開門時刻となる。
続々とジェフサポがスタンドを埋め、黄色い固まりが出来ていく。

名古屋もホーム最終戦、動員もかかっているらしく、3万人が詰め掛けるとも言われている。
後援会がこの日のために準備したフラッグが全員に配られ、赤一色のスタジアムに、無数の旗が揺れている。
が、それほど大アウェイ感はしない。
人数は少なくても、駒場や日立台、アルウィンで感じるそれとは違う。
こちらの方が、気持ちで勝っているのを感じる。

スタンドや入口には、前節で負傷した乾の分もとの横断幕がかけられ、
試合前練習に入ってきた選手達に、大きな声援がかけられ、選手達も大きく手を叩いて応える。
そして、キックオフとなった。

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ジェフのメンバーは、上記のとおり。
レンタル元相手に出られない矢田の代わりに、熊谷が勇人とドイスボランチを組み、
乾が抜けた左には、比嘉が入った。後は、前節と同じ。

対する名古屋は、ここまで7試合負けなし(6勝1引き分け)。
J2最多の得点数を誇り、その中で14アシストと別格の活躍を見せるシャビエルが怪我から前線に復帰。
玉田と2トップを組む。中盤の左には寿人が入り、右には絶好調の青木が居る。
他のメンバー、取り分けサブには、長身のシモビッチや、足の速い押谷が控えていて、厄介この上ない。


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試合が始まると、お互いが激しく中盤で潰し合いをしつつ、一進一退の展開。
気合い十分のジェフは、序盤からボムヨンがシャビエルを潰しに行って、一触即発になったり、
熊谷がボディコンタクトを厭わない激しい潰しをかましたりと、肉弾戦の様相。

名古屋は、各選手の技術はすごく高い。
プレスで追い込んでも、狭いところをパスを通されたり、裏へボールを通されたり。
序盤、ジェフがやや落ち着きが無かった事もあって、シャビエルを中心にいくつかのチャンスを作られてしまう。

ジェフも、カウンターを素早くして、得点を窺う。
優也からのロングボールに也真人が飛びだし、ループ。
さらに船山が際どいシュートを次々に放って、名古屋ゴールを脅かしていく。
が。シュートが精度を欠いてゴールには至らない。

イーブンか、ややジェフに分があるかと言った展開で前半が終了する。
心配された左サイドも、大きな破綻なく比嘉がこなしている。
優也の蹴るボールがやや高い(乾に合わせたようなボール)他は、問題ない。

後半に入り、ジェフがさらにギアを入れる。
ここからは、今季鍛えに鍛えて来た、ハイライン・ハイプレスの成果を見せつける場になったかのような45分だった。
強調したいのは、この試合90分間通じて、素晴らしいプレスが続いた事だ。

例えば、名古屋の左サイドの寿人に対しては、也真人と溝渕が2人がかりで挟み込みに行く。
パスを短く繋ぐ名古屋は、次第に逃げ場が無くなり、1人が剥がされても、もう1人がプレスに行き、
剥がされた1人が、また2段階目のプレスに戻って来る。
そうこうしているうちに、相手は逃げようにも、高く設定された最終ラインに圧縮され、
苦し紛れに戻すしか無くなる。そこにさらに、ラリベイが、船山が追い撃ちをかける。

前線にボールを戻せば、中途半端なボールは、オフサイドの網にかかる。
シモビッチは脅威だったが、2人、3人で囲めば、そうそう自由にプレーは出来ない。

圧縮された中盤。
そこからのボール奪取と、カウンターへの徹底が出来ていたのはジェフだった。

惜しいチャンスがいくつかあった後、畳み掛けた。

54分に船山の折り返しをラリベイ。
63分に也真人の折り返しを為田。
さらに、65分には為田の折り返しをラリベイ。

電光石火のカウンターの連発で、一気に3得点を奪って試合を決めてみせた。
どれも、スーパーゴールでは無いけれども、その分、「奪って」「崩して」「決める」、
チームとしての力、連携の熟成を感じさせる素晴らしいゴールだ。
ラリベイが、勇人が、ボムヨンが、スタンドを煽り、さらに流れは加速する。


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ゴールのたび、スタンドでは、お祭り騒ぎの中にも、皆が気を引き締めていた。
1点を奪えば、名古屋の反撃を恐れ(実際、すぐにシモビッチに、バー直撃のヘッドを喰らった。運もあった。)、
2点目を奪えば、「2ー0は一番危険なスコア」だと言い、
3点目の後には、「名古屋は4点を奪い返す力のあるチームだ」と言い合い。

とにかく、流れを変えないこと。
そのために、声を枯らしていた。
いつの間にか、豊田スタジアムには、ジェフサポの声しか響かなくなっていた。

そして、そうした心配はしなくても良いほどに、この日のジェフの後半は素晴らしかった。
繰り返しになるけれども、最後の最後まで走りきった。
プレスをかけつづけ、体を投げ出して、ボールを防ぎ、クロスを弾き返し、流れを手放さなかった。

その中で、言及せざるを得ないのは、勇人の存在だ。

もう、二十年近く彼を観ているが、昨日の勇人は、
彼のベストのパフォーマンスを見せた試合の一つだったのではないだろうか。
激しく当たり、粘り、ボールを絡め取り、奪っては素早く展開し、前に出て攻撃にも参加する。
相手が寿人であろうが、削り、中盤に仁王立ちしていた。

昨日に限って言えば、名古屋との違いは、そこにもあったのかも知れない。
賭ける気持ちの強さと言おうか。

全員で戦い抜き、このまま3ー0で押しきった。
試合後、エスナイデル監督をはじめ、選手達も充実感の篭っていたコメントを残していたように、
ここに来て、シーズンベストとも言える内容で6連勝を達成した。

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しかし、他のチームも必死だ。
41節を終わって、ジェフがプレーオフに進める可能性はわずかしかない。他力本願でしかない。
それでもなお、勝たなくてはならない試合に勝って、最終節のフクアリに繋いだ事に意味がある。

やらなければ行けないことはシンプルだ。
最終節、フクアリで勝って終わる。
その先は、勝ってから考えよう。

豊田スタジアムに集ったサポーターも、勝利を分かち合いに来た選手達も、
それぞれに充実感に溢れ、自分たちのサッカーに自信を持っていた。
そう、この自信こそが、ジェフの未来を引き寄せるものだ。

未来を創るチャンスは、あと一節残っている。
チャンスは2008年よりも、少ないかもしれない。
それでも、とスタジアムに集う、信じるジェフサポの力で、「次」を切り拓きたい。

最終戦は、来週日曜日19日16時から。
場所は、ホーム、フクダ電子アリーナだ。

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